(登記の先走りに注意。
解散時の欠損金の繰り戻し還付は同時提出不要、期限1年。)
2026年 9月
先月に引き続き清算絡みです。実務をやっていて、ヒヤッとしましたのが、①解散から清算結了登記までの順序と司法書士の先生・お客様との連携、②解散時の欠損金の繰り戻し還付の特殊な取り扱いでした。①は、税理士と司法書士が連携していないと、「知らない間に清算結了登記が完了してしまっている」という事態も生じる可能性があり、②は通常時の欠損金の繰り戻し還付と対象年度や期限、法人税申告書との同時提出要件などが異なり、実はかなり特殊です。ゆえに、今回はそちらについて解説します。
1.清算結了登記までの順序 登記の先走りに注意
まず、法人の解散登記をして、解散事業年度の法人税申告を終えた後の清算結了登記、届出までの順序は以下の通りとなります。
① 残余財産の確定 (税理士・お客様)
② 残余財産確定申告 (税理士)
期限は、確定の日から1か月以内(残余財産分配の日がその期間中である場合は分配の日の前日)→申告日の翌日以降でなければ分配してはダメ!
③ 残余財産の分配 (お客様)
④ 株主総会 (司法書士・お客様)
⑤ 清算結了登記 (司法書士)
⑥ 異動届出 (税理士)
上記の通り、税理士、司法書士、お客様それぞれ守備範囲があり、順序がきまっています。ゆえに、本来は残余財産確定申告・分配をしてから清算結了登記のはずなのですが、法務局の登記ではそこまで実態を確認しないからなのか登記が独走して残余財産の分配前に清算結了登記をしてしまうという場合があるようです。これでは、当然いろいろひずみがでますので、税理士、司法書士、お客様連携の上、規定通りのスケジュールでやっていくべきでしょう。
2.解散時の欠損金の繰り戻し還付 通常と対象期 期限が違う
さらに、こちらは税務専門家でも知らない方もいらっしゃるレベルなのですが、解散時の欠損金の繰り戻し還付の規定は特殊です。特殊な点は以下の通りです。
①繰り戻し対象期間 還付所得事業年度が前々期の場合も
上記記載の通り、通常は、当期の欠損金を「その欠損事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度」に「繰り戻して法人税の還付を請求することができる」とされています。ところが、解散事業年度は、「解散等の事実が生じた日前1年以内に終了したいずれかの事業年度または解散等の事実が生じた日の属する事業年度」の欠損金について還付請求をすることができるとされており、要は、解散の日付によっては、当期または前期の欠損金について適用があることとされています。その場合の還付所得事業年度はイメージ的には前々期となり、通常の事業年度と異なります。
②還付請求書の提出期限 解散日以後1年以内
通常は欠損事業年度の青色申告書である確定申告書を同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出することとされています。しかし、解散の場合は解散等の事実が生じた日以後1年以内とされています。
③解散の場合は確定申告書と還付請求書の同時提出が要件ではない
また、こちらがシブいのですが、解散の場合は、確定申告書と還付請求書の同時提出は要件とされていません。税理士的には、若干違和感がありますが、普段の欠損金の繰り戻し還付は法人税申告書と同時提出が要件ですので、なんとなく「法人税申告書の一部」みたいなイメージがあるだけであり、手続き的には別のもので、かつ、②の通り期限も異なりますので、言われてみればなるほどなあと納得かつある種感心するところかと思います。上記の通り、解散時の欠損金の繰り戻し還付は非常に特殊ですので解散時は注意しておきたいポイントです。