事業主の社会保険と事業形態
(個人、法人と社会保険の関係)
2018年9月
今回は最近増えている起業家の社会保険について解説します。勤め人とは立場が異なる起業家、事業主ですが、社会保険はどのようになっているのでしょうか。
1.起業したい!個人か法人か?社会保険との関係
起業する際に、まず、事業を行う形態として法人にするか個人にするか?という選択肢があります。一般的には「事業をやるなら法人でしょう」といったイメージがあり、「法人がなければ事業ができない」と言わんばかりの解説をしているネットの記事等もたまに見かけますが、これは完全に誤解で個人事業でも法的には問題ありません。また、法人の場合は、事業所での健保・厚生の加入が強制ですが、個人の場合は従業員が5人未満の場合は強制ではありません。(※労災、雇用保険は要件に該当の場合個人も必須)ゆえに、税金より社会保険の負担が大きい開業初期の段階では個人か法人かというのは重要なファクターとなり、かつ、所得税の青色申告特別控除65万円もとれる個人事業者はそれなりにメリットがあると考えることもできます。
2.国民健康保険・国民年金か健保・厚生か?
「では、健保・厚生に入らなくていい個人事業主の健康保険と年金はどうなるの?」というと、事業所で社会保険に加入していないと国民健康保険・国民年金に加入することになります。(業種によっては健康保険組合あり。)「健保・厚生とどっちが得なの?」というと、所得や法人にした場合の役員報酬支給額、将来の受給額をどう考えるかにより異なりますが、オーナー法人の場合、「法人負担部分も実質的には自己負担のようなもの」という特徴があり、比較検討にはシミュレーション計算が有効です。場合によっては個人と法人の併用という方法も考えられます。
3.日本年金機構の年金ネットがすごい!
なお、日本年金機構のHPには年金ネットという機能があり、これまでの支払実績や将来受け取ることができる年金額等を個人別に管理し、将来の年金受取額の試算等もしてくれます。この試算機能がかなり良くできていて、予測給与をもとに将来の年金受取額が何パターンもシミュレーションできるようなっています。こちらも参考にしながら2の検討を行うのも面白いかと思います。