2024年3月号 2024年1月~3月 繁忙期 そうだったのかの豆知識


(留学生住民税、昔懐かし留保金課税、オーストラリアの外税控除)

2024年 3月                       

  

 1~3月と繁忙期でした。この時期は私もスタッフと一緒になって申告書を作成したり、中古資産の耐用年数を計算したりといった作業を一心不乱にやっておりましたが、国際会計事務所という幣事務所の仕事がら、割と特殊な論点がでてまいりました。一つ一つ調べていくといまだに「そうだったのか!うーん。」となった点がいくつかありましたので、今回はそういった豆知識的な特殊論点を簡単にまとめてみました。

1.中国人留学生の場合 住民税は給与支払報告書に免税の旨記載

 中国人留学生をアルバイトで雇っている場合、所得税は要件に該当して免税申請を出せば所得税は免税となります。しかし、住民税はどうなるのかな?と調べてみると、住民税独自の免税申請もあるのですが、そんな面倒なことはやってられませんので、給与支払報告書に免税適用を受けている旨を記載すればOKとのことでした。うーん。法律的にはそうなのでしょうが、無駄に手間がかかるなあとは思います。

2.昔懐かし留保金課税(大法人)とオフショア非課税国への配当

 法人税の留保金課税は中小法人への適用停止により実務で目にする機会がめっきり減りましたが、外資企業などは、日本法人は小さくても本国の親会社が巨大で、法人税法上大法人扱いとなる企業が結構あります。その場合、定額控除2,000万円がありますが、会計上の利益ではなく税務上の課税所得から計算しますので、超えそうになると結構あせります。久しぶりに税務ソフトで計算してみると法人税の控除があったりして、結局留保金課税はありませんでしたが、留保金課税がでるのなら海外親会社へ配当して(その国はオフショア所得が非課税の国でした)回避しようかなどと、余計なことまで考えてしまいました。現在の実務ではたまにしかでてきませんので、大法人は決算前から税務ソフトに数値を入れてシミュレーションしておくのが安心かと思います。

3.個人間利息 生計一と別生計の所得税経費算入と雑所得の申告

 家族間での利息は金額が大きいと贈与税の問題が発生するは、以前のニュースでお知らせした通りですが、「家族に支払った利息は経費になるのか?」という疑問が生じました。調べてみると、同一生計なら経費にならないので、逆にもらった方も所得税の申告の必要なし、別生計なら経費計上ともらった方は雑所得での申告が必要という結論にいたりました。贈与税の世界と所得税の世界を別に考えるのがポイントかと思います。

4.オーストラリアの税金の日本での所得税外国税額控除 課税年度(決算月)は6月だが、でもそんなの関係ねえ!

 個人の確定申告でオーストラリアの税金の外国税額控除をやりました。まず、オーストラリアの所得税の源泉徴収税率が32.5%(高い!)で、

税制 | オーストラリア – オセアニア – 国・地域別に見る – ジェトロ (jetro.go.jp)

個人の課税年度(決算月)が6月になっています。特殊なので、外国税額控除の対応はどうなるのかしら?と一瞬戸惑いましたが日本の外国税額控除は単に支払った年度で計算するだけですので、関係ありません。なお、オーストラリアの方になんで6月課税年度なのか聞いたことがありますが、「わからないけど、イギリスと違う制度にしたったんじゃないのかな?」という答えでした。なるほど・・。

5.非永住居住者の国外源泉所得 国内か国外かの判定、計算は結構怖い

 非永住居住者の国外源泉所得のうち、一定のものは日本で申告不要ですが、この国外源泉所得税か国内源泉所得かの判定は微妙で、計算方法なども明確に定まっていません。「国内源泉所得か国外源泉所得か」の判定、計算を誤ると納税額が大きく変わりますので、気を付けなければいけないなと思いました。