所得税年末調整と国外扶養親族
(日中の税額計算の相違と気合が入っている国税庁Q&A)
2018年2月
1.年末調整 日中の個人所得税計算の相違点
改正前の中国個人所得税法では、給与に対する個人所得税の日中の大きな相違に「中国は月次ベースで税額を計算するが、日本は月次では仮の金額を源泉徴収しておき、年末調整で正しい税額を計算し、精算する」というものがありました。その「年末に正しい税額を計算して精算する」という計算手続がいわゆる「年末調整」です。今回は外国人の方の年末調整でよくでてくる「国外扶養親族を控除対象とする場合の要件」について解説します。
2.国外扶養親族の要件
国外扶養親族について、所得税法上、扶養控除の適用を年末調整で受けるには、以下の書類を源泉徴収義務者(会社)へ提出することが義務付けられています。
①親族であることを証明する書類
②本人から国外扶養親族へ送金した書類
なお、これは源泉徴収義務者への提出が要件であり、税務署に提出が必要とされているものではありません。
3.家族分を一人にまとめて送金したら?かなり詳しく書いてある国税庁Q&A
上記の①は問題ないとして、②が実務上ハードルとなるようです。送金も「誰かひとりにまとめて送金してはダメなのですか?送金手数料もかかりますし。」というようなお問い合わせを受けることがあります。しかし、これには国税庁もしっかりとした回答を出しており、「まとめて送った場合は、送金された者のみの送金書類として取り扱う」とわざわざ書いてあります。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/pdf/kokugaifuyou-QA.pdf
(国税庁HP 国外扶養親族に係る扶養控除Q&A)
この辺り、外国人向けに書いているせいか、妙に親切な感じもしますが、日本の国税庁の気合の入りようもうかがえます。