2026年7月号 雇用保険料前年実績精算・当年概算の会計処理


(当年3月分まで預り金と当年4月分以降預り金を区別して会計処理)

2026年 7月                        

7月10日に労働保険(労災・雇用保険)の申告、納付(自動引落の場合、引落は9月)があります。労働保険の納付は独特で、前年4月1日~3月31日までの実績をもとに、来年3月31日までの概算保険料をいったん一括で納付します。ゆえに、会計上の処理が真面目にやろうとすると複雑になるのは、2024年8月のニュースでご紹介した通りです。今回は、さらに前年度の実績による精算と当年度概算の詳細な会計処理について解説します。

1.前年度実績精算の会計処理

 雇用保険個人負担分を「預り金」科目で処理している場合、前年の労働保険支払い時に概算納付した個人負担分は「立替金」科目にいったん計上されます。その後社員に給与を支給して個人負担分を預かるたびに、

(預り金 雇用保険)/(立替金)

で前払いした立替金を消していくことになり、それが全て消化されると「預り金 雇用保険」科目が残高で残っていくことになります。

それを、まず労働保険申告書の前年度実績精算(不足額)の金額を確認し、不足が生じている場合は不足分について、

 ①個人負担分は、当年3月分までの雇用保険について、借方に、

 (預り金 雇用保険)

 ②会社負担分は、借方に

 (法定福利費)

 で起票します。大事なのは、①は、あくまで当年3月分までを充当するということです。2026年などは、前年と当年で雇用保険料率も変わっています。

 ③ちなみに、労働保険料と一般拠出金は、全額会社負担ですので、当然借方に

 (法定福利費)

となります。 

2.当年度概算分の会計処理

こちらは以前のニュース通りです。

①まず、7月10日の納付時に当年度概算分のうち個人負担分は借方

(立替金)

で起票し、

②次に、毎月の給与支給時に、雇用保険個人負担分は

(給与)/(預り金―雇用保険)

で記帳しますが、
③そのあと、「預かった分は立替金が解消しましたよ」ということで、

(預り金-雇用保険)/(立替金)

という仕訳も起票します。なお、当年概算分は、4月~7月分はすでに預かっていますので、7月で4月~7月分までについて上記の解消の仕訳を起票します。

④そのほか、会社全額負担の労働保険、一般拠出金も借方に

(法定福利費)

で起票します。

こうすると、1と2の借方仕訳の合計額が、貸方の労働保険の支払額(労働保険申告書の「今期納付額」)に一致して、「めでたしめでたし」となります。

無駄に疲れますよね・・。でも労働保険申告書みながらここまでやっとかないと個人負担、会社負担や立替、預り金の取り違えが出そうで怖いと思います。