(債務超過だと特別清算?公告期間中は何ができる?)
2026年 8月
外国人に対する在留許可などの規制強化に伴い、法人の清算に関する税務申告を承る機会もございます。法人の清算は法務メインで動くかと思いきや、小さい法人の場合は、司法書士の先生は最低限の登記や公告などをするのみで、後は顧問税理士とお客様が動いていかなければいけないケースが一般的なようです。そうすると、理論的には法務面と税務面がバッティングしてどう動くのが正しいのだ?と悩むケースがあるのですが、あまりその辺をがっちり解説してくれているHPなどはなく、司法書士の先生も「うちは登記やるだけですよ~」みたいな感じで、債務免除や、資産整理のタイミングなど、実務ではどう動いていくべきかわかりにくい状況となっています。(AIに聞くと、「微妙ですね~」などといって必要以上に理屈をこねくり回してくれます。)そこで、「実務的にはこのように解釈されているのではなかろうか」という点を調べてみますと、割と面白い整理ができましたので、(ちなみに、私が最初に執筆した書籍が「中国の法人の清算」に関する書籍だったというのもあり、清算関連の法務・税務のバッティングと実務対応は、若干不謹慎ではありますが割と面白く感じてしまいます。)今回はそちらについて解説します。
1.解散の登記申請と解散事業年度の申告
まず、法人で会社清算の決議をして、解散登記の申請をすることになります。税務の方では、期首から解散日までの事業年度をみなし事業年度として、解散事業年度の法人税の申告をすることになり、また、解散の登記簿が発行されると、税務署、都税に解散の届出申告をすることになります。
2.解散時に債務超過だと特別清算なのか?
その際、まず真面目な方が悩むのは、法務的には「解散時に債務超過だと特別清算等になるのか?」という点です。一般的にマイクロ法人が清算する場合、出資者=社長の個人借入金で債務超過になっているというケースが結構あると思います。この場合、形式的には債務超過になりますが、その法人を清算する場合、特別清算になってしまうのでしょうか?こういった場合、実務的には、最終的に社長借入金は全額債務免除をして資産超過の状態にして清算結了としますので、その場合は「最終的に資産超過になるなら大丈夫」という解釈?で、普通清算をするようです。たまにここで悩まれる方がいます。
3.債務免除のタイミングは解散前、解散後?期限切れ欠損金の損金算入との兼ね合い
次に、債務免除をするとして、債務免除は解散前の事業年度で行うのか、もしくは解散後の清算中の事業年度で行うのでしょうか?2の法務の教科書的な理屈は解散時に資産超過にしたいという方向のようですので、法務的には解散前に債務免除をして資産超過にしてくれると綺麗なのでしょうが、税務実務的には実際の債務免除の金額が最終確定するのは解散後であり、かつ清算中の期限切れ欠損金の損金算入との兼ね合いもあるため、税務側は解散後の清算事業年度で債務免除としたいとうモチベーションがあり、法務側とバッティングします。ただ、実務的には全て出資者=社長の借入金であるような場合は、解散後の債務免除であっても最終的に債務超過にはならないため、解散後の債務免除でも実務的には問題にならないという考える法務専門家の方も少なくないようです。
4.解散後の公告期間中のランニング経費の支払い
また、これも真面目な人ほど悩んでしまうのが、「公告期間中は債務の弁済をしてはいけない。でも、水道光熱費とかランニングの経費はどうなるんだ?」という点です。これは、当然ながらランニングの経費の支払いは実務的にはしてもよく(しないと清算実務が滞ってしまうと思います)、資産、負債の整理なども債権者が出資者=社長以外にいない場合などは、同時並行でやってしまって問題ないケースもあるようです。解釈としては、「外部の債権者への弁済はしてはならない。清算中に発生するランニングの経費支払い等は債権者への支払いに問題がなければ実務的にはOK」的なところなのかなと推測しています。
5.源泉所得税の納期特例は最後まで有効か?
あと、税務で悩むのが、「源泉所得税の納期特例はいつまで有効なのか?」という点です。たまに、ネットで「解散したら納期特例の効力はなくなり、原則の毎月納付となる」と書いてあるのを目にしますが、私が調べた限りでは「納期特例の取りやめ」等の届出を出さない限り別にそういうわけでもないようです。ゆえに、最後の清算確定申告の均等割と一緒に残った源泉所得税を納税するのが一番楽なのではないかなと個人的には思います。
6.銀行口座の解約時期 全ての税金支払い、残余財産分配が終わり清算結了登記の登記簿がでてからでよいのでは?
お客様にたまに聞かれるのが、「銀行口座はいつ解約してよいのか?」という点です。これは素直に全ての支払いが終わり、清算結了登記の登記簿がでた一番最後で良いのではと個人的には思います。意外とこの辺もあんまり解説してくれているページはありませんでした。弊社では会社の実務も含めたスケジュール案の提示、アドバイスを行っておりますのでご興味のある方はお問合せください。