(大企業(全事業者)、中堅企業向け賃上げ促進税制の判定は、
中小企業者向けとかなり違う)
2026年 2月
12月決算の外資系企業はグループ自体の規模が大きいところも多く、本国の支配会社が上場していたりします。そうしますと日本の決算作業的には法人税の申告が大法人扱いになったり、会計処理が複雑だったりと日本法人の規模の割には難易度が高く気がぬけません。そのなかでも令和6年4月1日以降の賃上げ促進税制の大企業バージョンの申告書作成は、中小企業者向けとかなり異なり、
chinnagesokushinzeisei2024.pdf
上記URLの通り結構大変でしたので、今回はそちらについて解説します。(ただ、苦労した割に2026年税制改正(大綱)で大法人は2026年3月末、中堅企業向けは2027年3月末で廃止になりそうです・・。ギャフン!)
①中小法人・中小企業者判定、5億円以上による支配、1億円超による保有等
なにはともあれ、税法上の中小法人・中小企業者判定をまずやる必要があります。(知らない間に出資関係が変わっている可能性もありますので、面倒ですが毎期やらなければいけません。なお、昨今の円安で日本円換算額も結構変わります。)日本法人単体で資本金1億円超の判断のみならわかりやすいのですが、大規模外資グループの日本子会社の場合、中小法人は支配関係をさかのぼって5億円以上の法人に支配されているか、中小企業者の場合は1億円超の大規模法人に一定割合保有されているかどうか等が判断基準となります。結構ややこしいので、下記の国税庁のフローチャート等で確認する方が安心かと思います。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/aramashi2024/pdf/03.pdf
なお、割と出資関係図などを大規模外資企業グループに要求すると、「なんでいるの?私たちも知らないのに。超機密資料ですよ。」などと難色を示されることがありますので、資料をいただくのも一苦労です。
②大企業(非中小企業者)の場合、賃上げ促進税制は全事業者向けか中堅企業 中小企業者向けとかなり違う
大企業(非中小企業者)の場合、中小企業者向け賃上げ促進税制は使えず、大・中堅企業向けの制度で計算しなければなりません。ただ、実際やってみるとわかるのですが、中小企業者向けに比べると要件や内容がかなり違います。
具体的には以下の通りです。
・継続雇用者(実質24カ月継続勤務の者)で要件を判断
・繰越は不可
・地方法人税は控除前を課税標準として計算
(税務ソフトによっては手入力でやらなければいけない場合があるようです。恐ろしい・・)
上記の通り、全雇用者給与の比較だけでできるシンプルな中小企業者向けと異なり、対象者の抽出からはじめなければいけませんので、頭を切り替えてやる必要があります。一方、翌年以降への繰越はありませんので、そこはシンプルではあります。
③中堅企業(特定法人)という賃上げ促進税制オリジナルカテゴリーも
救いは下の縦関係だけみればよいというところ
大規模外資グループのミニ日本法人はほとんど中堅企業になるのでは?
また、中堅企業(特定法人)という賃上げ促進税制独自のオリジナルカテゴリーが新設されており(いろいろ定義を次から次に作るのは勘弁してよといいたくなりますが)、計算の概要は大法人とほぼ同じです。この際、中堅法人該当の判定には支配法人グループの従業員数が1万人を超えているかという判定をする必要があります。しかし、この人数は申告する日本法人の下の縦の出資関係のみみていけばOKで、上にあがって確認していく必要はなく、ここは助かります。ゆえに、大規模外資グループのミニ日本法人の場合、ほとんどが中堅企業に該当するのではと思います。
④損金に算入した給与が対象 賞与引当金など注意
また、これは中小企業者向けも共通ですが、「損金に算入した給与」が対象なので、賞与引当金の別表加算、減算をやっている場合は、別表調整額を考慮して損金算入給与額を計算する必要がありますので注意が必要です。また、当然ながら法人税法上の発生ベースの損金算入額ですので、12月決算だからといって支払いベースの源泉徴収簿の金額をそのまま使用することもできません。