(遅咲きの2017年租税協定発効。手続きは最も複雑。)
2023年 9月
今月は、台湾の個人所得税短期滞在者免税について解説します。私は中国本土及び日本では短期滞在者免税関係はさんざんやりましたので、たいしたことないだろうと甘くみていたのですが、提携の台湾の会計事務所とともに実務をやらせていただくとかなり実務は複雑かつユニークでしたのでそちらについて解説します。
1.台湾に183日ルールはあるの?あるよ!遅咲きの2017年租税協定発効。
まず、台湾の個人所得税に短期滞在者免税規定、いわゆる183日ルールはあるのでしょうか?これが長らくなかったようですが、租税条約、協定としては遅咲きの2017年に日台租税協定が発効していますので、現在では183日ルールはあり、租税協定の要件に該当すれば短期滞在者免税の適用があります。なお、租税協定の発効が最近であるため、ネットなどでは「91日以上滞在で課税」という情報も結構でていますので、注意が必要かと思います。また、183日超過のカウントは暦年ではなく、連続した12カ月間でカウントしますので(日台租税協定第15条2)、注意が必要です。
2.手続きはかなり複雑(中国本土を上回る複雑さ)
①まずは届出 必要資料も多い
遅咲きの租税協定のせいか、短期滞在者免税の適用を受けるための手続きはかなり複雑です。まず、「資料と届出の提出が必要」ということで、日本側も日本の居住者証明、台湾の居留許可証などかなりの資料が必要になり、届出書もかなりの内容を書かなければ適用を受けることができません。まあ、このあたりは「租税条約の適用を受けるための届出」を短期滞在者免税の適用でも出せという国、地域はありますので、まあ、そうなのかな?とも思います。
②ここがトリッキー!免税でも個人所得税申告がマスト。
次に台湾独特の非常にトリッキーな部分があるのですが、①の届出だけでなく、免税になる場合でも個人所得税の年間確定申告をしなければなりません。方法としては、1.いったん個人所得税を申告、納税して①の免税が認められれば納税したものが還付してもらえるパターンか、2.①と②を同時に提出して納税はしなくて済むという2つの方法があります。免税の適用があっても計算をしなければならないので、基本的には現地の会計事務所と共同でやらないと難しいのではと思います。「短期滞在者免税でここまでやるの?」と、かなり特殊な制度である印象は受けます。
3.OKなら免税、適用なしでも日数按分での納税も。提携の台湾の会計事務所を通じて、免税申請、申告、納税の代行対応が可能です。
上記手続きで税務署の承認を受けられれば無事短期滞在者免税が適用されます。また、適用がない場合は要件に応じて日数按分での納税などになる場合もあります。業務について、弊社は提携の台湾の会計事務所と共同で業務を承っております。ご用命の方はお問合せください。