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とにかくわかりやすいニュース 2016年3月号 決算期における日本と中国の外貨換算

決算期における日本と中国の外貨換算

(外貨建て資産、負債の換算ルール)

2016年3月                                     森村国際会計事務所

1.意外と専門家も知らない税法上の外貨換算

いよいよ3月決算!ということで、今月は決算期の会計、税務上の外貨換算に関する質問をよく頂戴しました。実は、外貨換算については日本と中国でルールが異なります。また、面白いもので、日本も中国も通常は国内業務が中心であるため、会計専門家でも割と外貨絡みを苦手にしているケースが多いようです。私も中国の外貨換算は慣れていましたが、日本に戻ってきて日本の外貨換算について聞かれると一瞬「?」となってしまうことがありました。(今は大丈夫ですのでご安心ください 笑)

 

2.中国の外貨換算ルール

まずは中国です。外貨換算に関しては中国の会計、税務の方が日本よりシンプルです。「期末の外貨建資産、負債は、期末の中間値為替相場で人民元に換算」となっていますので、期末の中国人民銀行発表の中間値で人民元に換算するのみとなります。採用レートは中国人民銀行のレートであり、一般の銀行ではありませんのでそこだけ御注意ください。

 

3.日本の外貨換算ルール

ややこしいのは実は日本です。①発生時換算法(取引発生時のレートで固定)と②期末時換算法(中国と同じ)の2種類があり、さらに資産、負債の種類により法定換算方法が分かれています。加えて、一定の資産、負債については届出を出せば法定換算方法ではない方法も選択可能と、中国に比べると複雑になっています。(法人税法61の9)

 

4.日系企業実務でのポイント 外貨でチェックを!

中国子会社の外貨建て資産、負債は、財務資料上は人民元で表示されていますが、これはあくまで換算後の金額であり、実際には外貨です。エビデンスとのチェックは外貨で行いましょう。日本の外貨換算は種類別に換算方法が異なり、かつ届出の提出の有無によっても換算方法が変わりますので、一度一通りチェックしてみるのも良いかと思います。また、日本親会社と中国子会社間の債権債務の照合は実際の取引通貨で行う必要があります。