2024年5月号 おかみのほどこし 定額減税 


(ありがたきシワヨセ!お手間は結構かかります)

2024年 5月                     

  

 ついに6月支給給与から定額減税が始まります。経理部門や会計事務所にとっては、かなり手間ですが、まあ物価高の国民を助けるためということですので、本来は良いことではあるのでしょう。(手間は見合ってるの?誰か特定の人が潤ってない?という疑問はありますが)なお、昔、「信長の野望」というゲームで「ほどこし」というコマンドがあり、実施すると侍が小判をばらまいて農民の群衆が大喜びという短絡的なアニメーションとともに、「民忠誠度があがる」というイベントがありました。今回の定額減税ではなんとなくそのイベントを思いだしましたので、それに絡めたタイトルにしてみました。

1.基本パターン 対象者は合計所得金額1,805万円以下の国内居住者、甲欄のみ

住民税は勝手にやってくれる 

 パンフレットや動画を見るとややこしいことがいっぱい書いてあって、戦意喪失してしまいますが、ややこしいのはごく一部の例外です、

令和6年分所得税の定額減税について(給与所得者の方へ)|国税庁 (nta.go.jp)

まずは基本パターンを抑えましょう。「定額」ですので、本人や扶養家族一人当たり所得税年間3万円、住民税年間1万円が減税額です。(本人の要件は合計所得金額が1,805万円以下の居住者です。)それをどこの給与から減税額を反映していくの?という問題です。

まず、楽ちんなのは住民税です。住民税は令和5年分の申告情報をもとに、市区町村が勝手に計算してくれますので、それに基づいてやるだけです。

 所得税は作業が必要になりますが、対象は甲欄(通常これです)対象者、本人も扶養家族も国内居住者ですので、令和6年分の扶養控除申告書の情報に基づき計算します。(これで、対象者の大半がカバーできるのではと推測しています。)
 詳細は以下の通りです。

2.住民税 勝手に計算してくれる 普通6月はなし 定額減税控除後を11カ月で割る

 住民税は市区町村が勝手に計算をしてくれます。なお、特別徴収のやり方が特殊になり、6月は徴収なし、住民税の定額減税(要は一万円)を引いた後の年額を11カ月で割って7月から徴収ということになります。


3.所得税 6月最初の給与、賞与からなくなるまで実施 「各人別控除事績簿」で管理

 所得税は、扶養控除申告書から金額を把握し、「各人別控除事績簿」というものが国税庁から発行されていますので、

kojo.pdf (nta.go.jp)

それで管理しつつ、6月最初の給与、賞与から定額減税額を控除できるまで控除していくことになります。また、給与明細にも別途表示する必要があります。(理由は・・。いわずもがなです)

なお、その6月1日より後の扶養家族の変動情報などはタイムリーに反映させず、年末調整で一気に調整をいれます。

 

4.従業員の方への案内とマニアックパターン

 上記が概要ですので、各従業員の方への案内としては

①6月支給給与から始まり、順次控除されます。住民税は自動計算です。

②甲欄、国内のみが対象です。

 ということを案内するくらいにとどめるのが現実的かと思います。

 

 ただし、面倒なことにごく稀なパターンがあり、それが超面倒です。具体的には、扶養控除申告書に記載していない同一生計配偶者や扶養親族がある場合(合計所得金額900万超で配偶者控除が受けられないから記載していない等)、別途「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」

0024002-044_01.pdf (nta.go.jp)

というものを提出しなければなりません。ただ、通常はでてこないパターンですので、念のため軽く触れる程度で良いかと思います。

 しかし、スゴイ労力ですよね。ソフト会社はビジネスチャンスと考えているかもしれませんが・・。日本最高レベルの頭脳をお持ちの方達が考案していると思いますので、もうちょっとスマートにできないものかなと自分のことは棚に上げて感じてしまいます。