(設計が大事!源泉、納税管理人、複式簿記)
2017年3月
3月は日本でも個人の確定申告期限です。日本で一定の所得のある方は、非居住者であっても確定申告をしなければならないこととされています。
1.納税管理人って?実質還付管理人?
「納税管理人」という耳慣れない税法用語がありますが、非居住者でも確定申告義務がある場合などは、この「納税管理人」というものを、本人以外に選定して税務署へ届け出ることになっています。これは、日本にいない非居住者の代わりに申告などを行う者といった役割です。ただし、下記2の通り、非居住者の確定申告は源泉徴収ですでに税金が徴収されている場合も多いことから、還付申告も多く、実務家としては「実質的には還付管理人じゃないの?」と感じる時もあります。
2.非居住者の申告、基礎控除はあり!源泉が重い場合も。
非居住者の確定申告は控除項目などが、一部居住者と異なります。ただ、基礎控除の38万円は等しくありますので、所得が少ない場合、税金がでないケースも多いです。また、非居住者への家賃の支払いなどは、家賃の支払額から所得税を源泉徴収することとされており、これが経費控除前の金額で計算されるため、そもそも高額な税金が徴収されており、確定申告が還付申告となる場合も多くなります。
3.設計が大事!複式簿記の手間 法人にする意味?
非居住者の税務のお手伝いをしていて感じるのが最初の設計が重要だという点です。たまに、所得がそれほど大きくないのに法人にしてしまっているケースがありますが、この場合法人税の申告をしなければならないので、複式簿記、決算書作成と手間とコストがある程度かかってしまいます。ビザ取得などの目的がないのであれば、法人にするメリットがこの手間とコストを上回るかよく検討すべきでしょう。
4.内国法人でも現実的な意味で納税管理人が必要?
非居住者ではないですが、海外展開されている内国法人の経営者の方などは、各種納税手続のために海外出張の合間を縫って、日本で納税や申告などをされています。こういう方にこそ、手続きを代行するような制度が必要なのかなとも感じます。