固定資産税の活躍と弊害
(評価額がついているのは便利だが、ひずみも多い)
2017年7月
1.固定資産税とは?細かい改正が多い。
日本の固定資産税は、不動産などの固定資産の所有に対して課税される地方税で、賦課決定税(納税者が申告して計算するのではなく、当局が税額を計算してくる税金)であるのが特徴です。毎年の税制改正では、固定資産税の細かい改正が多くなっています。いわゆる「タワマン節税」封じとして導入された改正も固定資産税の改正です。なぜ、固定資産税にちょこちょこ改正が入るのでしょうか?
2.評価額がついているため、国税でも活用。
固定資産税は地方税で、賦課決定税であり、自分で計算できないということで、どちらかというと、税金のなかではメインというより、おまけ的なイメージです。しかし、実はメインの税金である国税でも結構、固定資産税の数値が活用されています。相続税評価上の固定資産税評価額による評価や、所得税の社宅非課税金額の計算などです。これは、国税では取得価額が税額計算の基本であり、時価という要素を用いにくいのに対し、固定資産税は現在の価格を公的な評価額として毎年出しているため、時価の参考として活用しやすいという点があるからではと考えています。固定資産税はおまけに見えて、実はメインの税法でも活躍をしているわけです。
3.ひずみは多い。「タワマン節税」封じの改正は?
しかし、一方で弊害もあります。固定資産税評価額は土地の場合、時価の7割といった目安がありますが、物件により時価と著しい乖離がある場合もあります。また、建物でも、都心のタワーマンションのように固定資産税評価額よりはるかに高い時価がつくところと、売却できないけれども評価額はでる過疎地のリゾートマンションなどでは、かなり差がでてしまい、評価額をそのまま国税で用いると妙な結果になる場合も少なくありません。今年の改正では、「タワマン節税」封じで固定資産税の改正がされましたが、内容は階数ごとの固定資産税の調整です。しかし、この「タワマン節税」は、相続税評価額に固定資産税評価額を使えることが大きな節税メリットなので、固定資産税が増加したとしても、評価額自体に手をつけなければ節税封じとしての効果は限定的な気もします。