(非居住者基礎控除、海外FX業者の所得分類と通算、分離課税配当所得の外国税額控除 政令指定都市、爆益投資の消費税、予定納税への影響の有無)
2026年 3月
所得税確定申告の申告自体は年に一回しかやりませんので、細かい点は一年たつとどうしてもあやふやになってしまいます。また、年々細かくなる税制改正や(簡素というキーワードはそもそも考えてないのだなと思うくらいひどいややこしさです)、ここ数年お客様の所得の種類の多様化、人によっては高額化していることによって、「え、これってどうだったっけ?」と悩むポイントが年々増えています。そこで、今回は2025年の所得税確定申告実務で悩んだポイントについて解説します。
①非居住者基礎控除は合計所得金額による増額なし、減額はあり・・
税務ソフトによっては自動計算なし めっちゃ怖いやん!
まず、先月もメールでご紹介したこちらです。
税務ソフトによっては自動計算をしてくれませんので、非居住者の申告数が少ない会計事務所などはうっかり間違ってしまう可能性があるのではないでしょうか。怖いところだと思います。
②海外FX業者の所得は雑所得-総合、国内業者だと雑所得-分離 税率、通算、損失繰越が異なる 経済的実質は似てる気がしますが
次に、2025年は変動が大きかった為替ですが、FXで爆益を出しているお客様もいらっしゃいました。国内業者のFXは今は雑所得-分離課税(先物)ですが、海外業者ですと一般的には雑所得-総合課税となります。
No.1521 外国為替証拠金取引(FX)の課税関係|国税庁
こうなると、税率やら繰越損失やら結構違ってきます。ついでに暗号資産(仮想通貨)もまぜて一覧表にすると以下の通りとなります。
| 区分 | 所得分類、損失繰越 | 通算 |
| FX(国内業者) | 雑所得-分離課税(損失繰越あり) | 雑所得分離(先物)内で可 |
| FX(海外業者) | 雑所得-総合課税(損失繰越なし) | 雑所得総合内で可 |
| 暗号資産(仮想通貨) | 雑所得-総合課税(損失繰越なし) | 雑所得総合内で可 |
ただし、暗号資産については改正で分離課税に変更される予定です。
③外国税額控除 分離課税配当所得 政令指定都市 これも税務ソフトによっては自動で設定されない 妙な落とし穴
分離課税の場合、外国税額控除の算式がどうだったっけな?と悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか。外国税額控除の限度額の算式が、総合課税の所得が分母に来ているような気がするのと、税率が分離課税の税率であるため、分離課税の外国税額を控除していいのかな?と悩むわけです。実はこれは分母である所得総額に分離課税の配当所得も含んでいますので、外国税額控除が可能となります。
また、外国税額控除の地方税部分で、政令指定都市とそれ以外で税率の割り振りが異なりますが(政令指定都市 県6%、市24%、政令指定都市以外 県12%、市18%)、これも税務ソフトによっては自動でやってくれません。妙な落とし穴だなと思います。
④爆益投資の消費税、予定納税への影響の有無
なお、投資で本業顔負けの収益をたたき出している消費税課税事業者の個人の方がいらっしゃいますが、「これって法人みたいに消費税の課税売上割合に影響しないのかな?」と疑問に思わないでしょうか。こちらは一般的には、個人の金融投資の一環で事業活動ではないということで消費税の対象外となるようです。
ただ、本業の何倍も稼いでいるという点と、日本語としての意味の「なりわい」を考えると、学問的には議論の余地がある気もしますが、税務では一般的には別で考えてくれているということかなと解釈しています。(投資を消費税に影響させるなら、逆に所得税も事業所得で申告させてよともなるのでしょうね。)また、爆益がでると翌期の予定納税が心配になりますが、
上記の通り、一定の所得(臨時的性質を持つ所得)は「除外所得」として除外してくれていますので、そちらに該当すれば予定納税の計算対象にはカウントされません。なお、当然ながら住民税はかかりますので、納税スケジュールと納税資金の準備に御注意ください。