(財産債務調書と国外財産調書 該当すれば6月末に提出義務あり)
2025年 3月
確定申告シーズンも佳境ですが、富裕層の方は納税をともなう所得税確定申告のほかに、調書の提出という財産額を税務署に報告する書類を提出する義務がある場合があります。一般にはあまり知られておりませんので今回はその制度について解説します。
1.財産債務調書
まず、以前からある財産債務調書です。
これは上記の通り、
①所得税の確定申告書(または還付申告書)を提出の提出義務がある方で、その年分の退職所得を除く各種所得金額の合計額が2,000万円を超え、かつ、その年の12月31日においてその価額の合計額が3億円以上の財産又はその価額の合計額が1億円以上の国外転出特例対象財産を有する方
②その年の12月31日においてその価額の合計額が10億円以上の財産を有する居住者の方(上記①を除く)
が対象者ですので、イメージ的には「超富裕層」的な方に提出義務がある調書になり、それほど対象者は多くないものと思います。
2.国外財産調書
次に、国外財産調書です。これは平成24年の税制改正で導入された制度で、
上記のように国外に5千万円以上の財産を持つ方が対象となります。ゆえに、1より対象者は多いのではないかと思いますが、1に比べると新しい制度ということもあり、必ずしも制度的に浸透はしていない面もあるように感じます。
なお、ここでひとつ悩むのが、「国外財産ってなんやねん?日本の証券会社経由で買っている外国債はどうなるの?」という点かもしれません。それについては、口座が開設された金融商品取引業者等の営業所等の所在地で判断することとされているため、日本の証券会社口座のものは国外財産に含めないこととなります。(逆に外国の証券会社から日本の有価証券を購入している場合、国外財産扱いとなり、加算しなければなりません。)
3.提出期限 関係ないですが予定納税の納付書も御注意を
なお、提出期限は3月15日ではなく、上記両調書ともに6月30日となっています。また、本件とは関係ありませんが、下記の通り所得税の予定納税の納付書も昨年から、確定申告をネット納税などした場合、税務署から送ってくれなくなっています。
従来のように納付書がこないため、予定納税の納付もれになるトラブルも昨年は発生したようですので、こちらも御注意ください。