(プラットフォーム事業者が払ってくれれば、外国事業者が自分で申告、納付する必要がなくなる)
2025年 1月
いよいよ2025年になりました。今年も国際ビジネスは活況を呈すると予想しておりますが、一方、日本は労働人口急減による人材不足で、とくに国際ビジネス界隈では「需要はあるが、供給能力不足」という傾向が強まるのではと恐れています。さて、税務の世界では2025年4月1日より「消費税デジタルプラットフォーム課税」がはじまりますので、今回はそちらについて解説します。
1.改正の内容 珍しく割と良いこと プラットフォーム事業者以外の納税者は楽になり、税収も増える
税金の改正というと、「どうせまた面倒くさくなって税金もとられるんでしょ?うんざりですわ!」と条件反射的にお考えの方も少なくないかと思います。しかし、今回の改正は実務家としては事務簡略化と公平性の観点からは非常に良い改正ととらえており、かつ、従来捕捉できていなかった部分も徴税できることにより、税収も増加するのではという比較的良い改正と考えています。
2.改正の意味を理解するには、電気通信利用役務の提供を理解する必要あり
「なにがよくなったんじゃい?」というのを理解するためには、消費税法の電気通信利用役務の提供に対する課税というものを理解する必要があります。
国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について|国税庁
上記の通り、ネット配信などだと国外事業者(外国の法人など)に日本の消費税の納税義務があり、外国の事業者がわざわざ日本に消費税を納税しなければいけないというすごい制度でした。ところが、外国の事業者がこの制度を知らないこともあり(というか普通は知らない外国事業者が多いのではと推測されます)、徴税が機能しているのか疑問があったところ、「それならプラットフォーム事業者(アマゾン、アップルなど)から代わりに徴収してしまえ。ほとんどがプラットフォーム事業者経由なんだから」と納税義務者を変更したという制度です。
確かに小さい外国事業者がわざわざ日本の制度を研究して納税するなど現実的ではないですので、この制度自体はすごく良いことかと思います。(外国事業者の消費税の申告や納税代行をやっていた会計事務所は残念がっているかもしれませんが・・)
3.プラットフォーム事業者はすごいけど ふるさと納税は実質的に住民税の一部が流出しているように見えるんですが・・
上記でプラットフォーム事業者以外はめでたしめでたし(外国事業者もその分の消費税がプラットフォーム事業者のところでひかれはしますが)という感もありますが、一方、プラットフォーム事業者はとてつもなくすごいなと改めて思います。大半のITサービスがそこを通るので、そこさえ押さえれば良いという点で効率は良い反面、民間企業なのに経済や社会への影響がものすごいという規格外の存在です。日本政府の各種情報伝達なども、なぜか外資系の企業のツールに依存してしまっていますし。また、前から変におもっていたのは、今回の話とは異なりますがふるさと納税のポータル事業者は寄付額に応じたパーセンテージでシステム手数料をとっていると聞いたのですが、それって実質的に住民税がポータル事業者に流出(システム利用の対価ではありますが)してしまっているのではないかという点です。ふるさと納税のポイント付与禁止などが話題になっていますが、個人的には手数料という形でそんなに巨額の住民税が民間企業に行くことに対してなぜ誰も疑義を呈さないのかな?と不思議に思っております。E-TAXなどは国が運営していますがかなりよくできていますので、ふるさと納税のシステムも国が運営する方がフェアじゃないのかしら?とも思いますが、皆様はどのようにお考えでしょうか。