7月10日は地味に夏のクライマックス
(納期特例と社会保険。雇用保険が今年はややこしいです。)
2022年 7月
1.7月10日は地味に夏のクライマックス
会計事務所にとって、7月10日は地味に夏の業務のクライマックスです。なぜかと申しますと、主に小規模法人に多い「源泉所得税の納期特例(半年に一回の納付)の納付期限」と、社会保険の年に一度の定時決定、労働保険の年度更新という手続きの期限であるためです。「しょぼいクライマックスやな・・」と思われるかもしれませんが、それなりに事務負担のある作業にはなります。とくに本年は雇用保険料の料率変更もありましたので、とくにややこしくなっています。今回はそちらについて解説します。
2.社会保険の微妙な複雑さ 健保・厚生は支払ベース、労働保険は発生ベース
入退社や給与変更がなければ年に一度の手続きである社会保険の定時決定、年度更新ですが、これが地味にややこしいです。まず、社会保険(健保・厚生)は、4,5,6月に支払った給与をもとに算定しますが、これは会計的にいうと支払いベースでカウントします。ゆえに、正確にいうと7月にならないと金額が確定しないことになります。これに対し、労働保険は発生ベースで、昨年4月1日~当年3月末までに発生した給与により算定します。しかも当年分を概算前払いして、翌年実績との差額を精算するという独特な計算システムで、外資企業の外国人担当者などにはすぐには理解し難いものとなっています。我々の業務上も、外資企業の人事部門担当者などは、1円単位でこの辺をチェックし、計算システムの理由も聞いてきますので、なかなか説明に骨が折れるところです。
3.今年は雇用保険がややこしい。4月から上がって、10月から個人負担もあがる
さらに、今年は労働保険のなかの雇用保険がややこしくなっています。コロナによる雇用調整助成金の大量給付で、潤沢だった雇用保険の資金がスッカラカンになり、雇用保険料率が上がることになりました。また、この上がり方もややこしく、
2022年4月~9月に関してはまず事業主負担分のみあがり、10月~3月分からは、個人負担分も上がり、なおかつ事業主負担分もさらに上がるという、当年分の概算保険料を計算する際に、率が二つ存在するという普通に考えると無駄にややこしい変更形態となっています。今回申告して初めて「雇用保険の事業主負担分4月からあがっていたんだ・・。」と知った方も結構多いのではないでしょうか。また、申告以外の注意点としては10月(発生ベース)から個人負担分も上がりますので、給与計算の際に注意が必要な点になります。