(英語にE-TAX。実は、免除対象取引でも「相当する文書」の作成の可能性はアリ!)
2016年8月
1.文書ごとに異なる要件、提出期限
平成28年度改正で、日本の法人税法でも一定要件に該当すれば文書化が義務化されました。ところが、よく読んでみると、文書ごとに提出時期が異なり、「エッ!?」と思うような内容も記載されています。以下は文書ごとの提出義務と期限の一覧表です。
文書 | 提出義務、提出期限 |
最終親会社等届出事項 | 連結総収入1,000億円以上 平成28年4月1日以後開始する最終親会社事業年度終了の日まで (他文書より早い)E-TAXにて提出 |
国別報告書 | 連結総収入1,000億円以上 平成28年4月1日以後開始する最終親会社事業年度終了の日の翌日から1年以内。E-TAXにて英語で提出(条約国には情報提供) |
事業概況報告事項 (マスターファイル) | 連結総収入1,000億円以上 平成28年4月1日以後開始する最終親会社事業年度終了の日の翌日から1年以内。E-TAXで日本語又は英語で提出(条約国には情報提供) |
ローカルファイル | 関連会社製品50億円以上、サービス3億円以上 平成29年4月1日以後開始する事業年度(他文書より遅い) 言語は何でも可(日本語翻訳要求の場合有り) |
2.英語にE-TAX!
読んでみて普通の感覚だと驚くのが「英語にE-TAX」が義務という点です。(国別報告書は英語のみ)「なにが悲しくて日本の税務署に英語の文書をださなければいけないの?」という声が聞こえてきそうですが、意味合いとしては、関係する租税条約締結国には国別報告書の情報提供をおこなうことになっていますので、一応そのためでしょうか。
3.「ローカルファイルに相当する資料」は実は全取引について提出の可能性有り!
そのほか、なぜかあまり言われないですが、実は結構画期的な点は、「ローカルファイルに相当する資料」は50億円未満の免除基準に該当していても、調査で要求された場合提出義務があるという点です。「相当する資料」ですので、文書の形式にこだわりすぎず、どの企業も関連会社価格の妥当性の説明について準備しておくのも良いのではないでしょうか。