中国養老保険料率の引き下げと日中社会保険料
(日中とも大きい社会保険料の負担)
2019年5月
矢継ぎ早に打ち出された中国の減税策につづき、社会保険料の一部引き下げも実施されることとなりました。今回は、社会保険料の引き下げである養老保険料率の引き下げと、日中の社会保険について解説します。
1.養老保険料率の引き下げ
養老保険料率の会社負担額が従来の20%から、16%に引き下げとなりました。2019年5月より施行となっています。
2.中国の社会保険制度 五険一金
なお、中国の社会保険制度は、「五険一金」と呼ばれ、5種類の社会保険と、住宅積立金で構成されています。社会保険は、養老、医療、失業、労災、生育で、カバー範囲的には日本と似ています。しかし、住宅積立金は日本にはない制度です。強いていえば、日本の住宅財形貯蓄の強制版と言えるかもしれません。これらの合計が、大連の場合個人負担は最大22%、会社負担が最大40%程度となりますので、かなりの負担額です。
3.日本の社会保険 加入義務と個人事業の法人化への影響
一方、日本の社会保険は、健康保険、厚生年金ですが、財源不足から加入実務が厳格化しています。加入義務のある事業所は、法人または従業員5人以上の個人事務所で、以前は加入していない小規模法人なども見られましたが、現在は、法人で給与の申告をすればすぐに「社会保険加入の催促」がやってきます。義務であるから当たり前なのですが、個人事業の法人化の場合は、社会保険のコストも勘案する必要があり、一昔前の「節税のための個人事業の法人化スキーム」は必ず社会保険もプラスして検討する必要があります。また、日本人駐在員の社会保険継続加入は一工夫が必要になります。