2021年6月
相続税は東高西低
(基礎控除の引き下げにより、首都圏は申告義務がある方が多い)
1.個人的お仕事遍歴 相続税法にささげた大阪時代
個人的なことで恐縮ですが、20代後半の私は前職M社の大阪の事業所で、海外駐在志望だったにもかかわらず、ザ・国内税法である相続税対策チームに所属していました。また、税理士試験の相続税法に合格するのに3年かかってしまったので、朝から晩まで相続税三昧という日々を送りながら、なぜか相続税の魅力に取りつかれてしまい、自分の誕生日に相続税関係の通達集である「財産評価基本通達」を自分でプレゼントして、「マイ財産評価基本通達」を常備して、ネットの切り抜き記事などを貼り付けて書籍をカスタマイズするのが楽しみという、今考えればなんだか偏った青春時代を送っておりました。しかしながら人生万事塞翁が馬で、この時の艱難辛苦が今の業務で役に立っている面もあると感じます。
2.課税最低限の引き下げによる申告義務者の増加 首都圏に自宅があれば要申告?
その後、日本に戻ってきて東京で開業し、久しぶりに相続税申告業務の御依頼を受けたりするのですが、税制改正により、相続税の課税最低限が以前に比べ引き下げられているため、申告義務者が増加しているのを感じます。とくに、首都圏ではその傾向が強く、代々の富裕層というわけではなく、通常の勤め人の方でも自宅が持ち家なら路線価が高いため相続税申告義務がでてしまうという方が少なくないようです。
3.代表的な申告特典 配偶者の税額軽減と小規模宅地の減額
一方で、2のような「代々の富裕層ではないけれど、首都圏に自宅をもっているので相続税がかかる」というパターンでは、申告義務はあるものの、申告をすれば配偶者の税額軽減と、小規模宅地の減額という軽減規定で結局相続税がでないというパターンがかなりあります。とくに、配偶者の税額軽減は「法定相続分か、1億6千万円のどちらか大きい方の課税価格」が軽減の対象となるとなっており、おおざっぱに言うと被相続人の配偶者が相続すれば課税価格1億6千万円までは絶対に相続税がかからないという取り扱いになっています。この辺りを申告させる国の政策的な意図はどこにあるのか、もしくは、たまたまそうなってしまったのか、御存知の方がいれば御教示いただきたいと思っております。
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