香港の税制
(夢の税制?頭の体操にはもってこい)
2019年7月
中国ビジネスを専門にしていますと、香港の税制に関するお問い合わせをよく頂戴します。香港の税制は、中国本土はもちろん日本の税制とも大きく異なっていますが、今回はそのうち香港の事業所得税について解説します。
1.香港税制の特徴 簡素、軽課税
香港の税制の特徴としては、簡素、軽課税という点が挙げられます。日本、中国本土の税制ともかなりの相違があり、中国本土の方が制度的には日本に近いのではと感じる程の差異があります。
2.キャピタルゲイン課税、オフショア所得課税なし
まず、二大特徴として有名なのが、キャピタルゲイン課税、オフショア所得課税が非課税であるという点です。これは、居住者について全世界所得課税を基本とする一般的な国での課税方法と大きく異なります。
3.交際費の損金算入、欠損金の繰越が無限、
また、交際費は事業関連性があれば原則無制限に損金算入、繰越欠損金の繰越期限も無限となっています。交際費は日中ともに損金算入限度額があり、欠損金の繰越期限は日本が10年、中国本土は5年ですので日本や中国本土の税務専門家からすると、妙にロマンをかきたてられます。
4.家賃も人件費も物価も高い 拠点の意味は?
上記のように画期的な税制を持つ香港ですが、一方で物価が高いため拠点の運営コストという点では高くつきます。香港に拠点を持っていても、グループとしてのメリットが良くわからなくなっている企業も少なくありません。「何のために香港に拠点を持つのか?」の研究が肝要と考えます。