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わかりやすいニュース 2023年6月号 過小資本税制別表(別表十七(1))の書き方

過小資本税制別表(別表十七(1))の書き方

(かなりの労力。過大支払利子税制は、2,000万円以下は適用除外。)

2023年 6月

先日、法人税の申告で過小資本税制の別表を書く機会がありました。国際税務の専門家でも実際書いたことのある税理士はそれほど多くないようでしたので、今回はそちらを解説します。

1.グローバルな筋を通して、「別表加算上等!」の心意気→やっぱり大変。

過小資本税制はポピュラーな国際税務の課税概念で御存知の方も多いですが、対象になる場合、別の資金調達方法を考えるケースも多いようで、実際に過小資本の税制の別表を書いたことのある税理士はかなり少ないようです。しかし、弊社のお客様で「そういった税制があるのはわかるが、弊社はグローバル拠点共通で利息の支払いを決めているため、世界各国の拠点でもその通りにやらざるを得ない。ローカルの税法で損金不算入になるのは致し方無いのでそれに従う。」という方がいらっしゃいました。これはこれで筋は通っていますので、「その意気や良し!」ということで、私も過小資本税制の別表作成に挑みましたが、やはりかなり大変でした。

2.過大支払利子税制で逃げられるか?→支払利息2,000万円までは適用除外

まず、最初は、「過小資本税制の適用ありといっても、過小資本税制と過大支払利子税制のどちらか大きい金額が損金不算入なので、過大支払利子税制の方で全額損金不算入になるからたいした作業じゃないだろう」とタカをくくっていました。ところがどっこい、過大支払利子税制は対象利子額が2,000万円以下ですと対象外になり、当該企業は支払利息が2,000万円以下のため過小資本税制の申告書作成が必須となりました。また、やっかいなのは、一部は損金算入できるため、別表の計算結果によって1円単位で損金不算入額が異なってくることになり、計算も相当神経を使わなければならないという点でした。

3.平均負債残高、類似法人、平均負債残高超過額ってなあに?

→別途エクセル表を作成して、最初は半日仕事の覚悟を。

過小資本税制の別表は別表十七(1)という一枚モノの別表ですが、「平均負債残高」だの、「類似法人」だの、「平均負債残高超過額」などといった耳慣れない単語がでてきます。要は国外支配株主の自己資本の3倍を超える部分に対応する利息を算出するために必要な要素なのですが、これがここでしか使わない数値なので面食らいます。平均負債残高の算出には毎月の負債残高を別途エクセル表で集計して作成する必要があります。また、類似法人は特殊な場合なので、通常は関係ないと思われます。そんなこんなで書籍と記載例を見ながらやっていると、初めて作成する際は半日弱くらいの時間がかかると覚悟しておくのがよろしいかと思います。

4.加算額は別表四のどこに書くの?初期設定にはないのでブランクに社外で。

上記で苦労して損金不算入額を計算するわけですが、損金不算入額は別表四のどこに書くのでしょうか?別表四「仮計」欄の下の「24」に「対象支払利子等の損金不算入額」というものがあり、なんとなくここに記入したくなりますが、これは過大支払利子税制の分ですので、ここではないはずです。申告書の初期設定にはないようですので、加算のブランク欄に社外で記入することになります。