日本におけるPE課税
(超厳し~い日本の国内法。実際には租税条約、統合条文が勝負!)
2021年 4月
私の中国駐在時代、現地法人から海外への送金時や、個人所得税のステータス確認等の際に、PE(恒久的施設)課税がよく話題になっていました。当時は日本本社からもかなり注目度の高い論点で、様々なやりとりをした記憶がありますが、PE課税は国際的な課税概念ですので、当然、日本側でもあります。外国企業の日本進出の増加に伴い、日本でのPE課税を検討する機会も増えていますので、今回はそちらについて解説します。
1.実は日本の国内法は超厳しい!
日本の法人税法におけるPEの定義は、OECDモデルに準拠していましたが、平成30年改正後は、BEPSプロジェクト(国際的租税回避防止)実施取り組みの一環として、PEの範囲より広く定義をする改正が行われ、かなり厳しい内容となっています。
具体的には、代理人PEの厳格化等がなされ、日本法人で外国親会社のために営業を行う等の行為もPEとなる可能性がでてきました。
2.ネットの解説は日本の国内法が主だが、租税条約優先
ただし、上記はあくまで日本の国内法の適用があった場合の取り扱いです。ネットの解説も上記国内法を前提として、「超怖~い」感じのものが多いですが、租税条約締結国の場合は、そちらが優先となります。現在、日本は多くの国と租税条約を締結しており、租税条約は日本の国内法ほど厳しくない場合も多いため、租税条約を確認する必要があります。
3.結局勝負は租税条約と統合条文
租税条約のほか、BEPS防止措置実施条約の署名国については、統合条文というもので、租税条約の内容を上書きしていますので、こちらも確認する必要があります。ゆえに、PEについては、国内法が厳格になったといえども、実際の勝負は対象国の租税条約と統合条文と言えるのではないでしょうか。