《中華人民共和国外商投資法》施行
~中国進出企業は、現地法人定款の見直しが必要です~
2019年12月 NKK(大連)諮詢有限公司 董事長 中村 博司
今年最後のニュースは、中国からお届けします。中国は経済、社会環境が急速に変化しているため、法律の改正もスピーディーです。今回は、2020年1月1日から施行される、外国企業の中国投資に対する新たな法律「外商投資法」について、ご紹介します。
1.外商投資法とは
外商投資法とは、中国へ投資を行う外国企業、および外国企業により設立された外資企業に適用される法律です。これまで外国からの中国への投資は、独資、合弁、合作とそれぞれ出資形態に合わせた外資三法と呼ばれる特別法に基づき、管理、運営されていました。この外資三法は積極的に外資を導入しつつ、特定の国内産業分野への外資参入を制限し、中国経済を発展させていく、という役割を担っていました。
2020年1月1日からは、この外資三法が廃止され、すべて外商投資法に統一されます。当該法では外国企業と、中国企業間の機会の平等、外資企業の権益保護が謳われており、中国の外資導入政策の新たな方針が示されています。
2、外商投資法施行後の影響
外商投資法において、外資企業は中国企業と同様に「会社法」に準拠した会社の運営が求められています。この準拠法の変更に伴い、会社の基本的な意思決定・運営方法等が記載されている会社定款も、会社法に準拠した内容に変更する必要があります。
3、変更が必要な主要定款条項
これまで外資企業が準拠していた外資三法と会社法では、ガバナンス構造が大きく異なります。特に、合弁企業では変更を必要とする箇所が多岐に渡り、準拠法変更の影響が大きいため、早急に見直しをする必要があります。
主な変更必要事項は以下の通りです。
中外合資企業法(変更前) | 会社法(変更後) | |
最高意思決定機関 | 董事会 | 株主会 |
重大事項の決定 | 董事会の全会一致 | 株主会の3分の2以上 |
董事の任命 | 各当事者 | 株主会 |
董事の任期 | 4年 | 3年 |
監査役の設置 | 義務なし | 義務あり |
利益分配前の積立て | 3項目 | 1項目+任意の項目 |
「現法の会社の定款なんて見たことない」という企業様も少なくありませんが、会社の手続きなどは、全て定款にのっとって処理され、実際、手続きをする際に、「こんなこと書いてたの?」と驚かれるケースもあります。新法の施行により、定款の見直し、修正が必須となりました。これを機に、定款を一から整理してみてはいかがでしょうか?
弊所提携のNKK大連事務所で、当該定款見直し業務を承っています。ご興味のある方はお問合せください。