日中社会保障協定とは?
(7年越しでついに署名。日中ともに実務へ影響あり。)
2018年6月
1.日中社会保障協定が署名
2011年に中国でも外国人の社会保険加入が義務化されて以来、懸案となっていた日中間の社会保険ですが、本年5月についに、日中社会保障協定が署名されました。(当該協定に関する外務省のHPは以下です。www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press1_000223.html)
2011年の中国での外国人社会保険加入義務化時は大騒ぎになり、私も社会保険のセミナー等を現地でやった思い出があるため、7年越しで合意にいたったと思うと感慨深いものがあります。
2.そもそもの前提 日本は義務、中国は2011年より義務
当該制度の意味を考えるために、そもそもの前提を考えていきましょう。もともと、日本では外国人も社会保険に加入義務があり、日本の企業で中国人を雇用している場合は、日本の社会保険に加入していました。一方、中国では2011年の施行前は、外国人の加入義務はありませんでしたが、2011年に義務化されたため、外国人も中国の社会保険に加入することになりましたが(地域により運用差あり)、その場合、日本人駐在員は日本の社会保険に加入し続けるケースが多いため、二重加入の問題が生じていました。当該二重加入は、社会保障協定締結国なら年金部分については解消されるため、日中での社会保障協定の締結が待ち望まれていたのがこれまでの状況です。
3.発効すると・・・5年以内は母国での加入
協定署名後、国会で承認され発効となると駐在期間が5年以内であれば、中国での社会保険のうち年金部分の加入は不要で、日本での加入を継続できます。また、これは中国人が日本で就労する場合もしかりです。ゆえに、日中ともに実務的な影響はあり、5年超の方をどうするかなどの課題も今後出てくると思われます。また、日本で中国人を雇用している日本側の方が実務的な影響は大きいのではと個人的には考えています。