とにかく怖い消費税
(かつては最もわかりやすかった税法が複雑化)
2018年3月
1.平成元年に導入された消費税、年々複雑化
消費税は平成元年4月に導入された日本の国税の中では新しい税金です。ゆえに、理論体系や考え方なども歴史の古い他の税法に比べわかりやすく整備されていました。私が税理士試験の勉強をしている頃は、消費税法の先生が「消費税は最も理屈が通っている税法なので、理論を楽しんでください」などと仰っていた程です。しかし、年とともに節税策を封じ込めるための政策的な改正が増え、今では他の税法と同様のツギハギだらけの要注意税法になってしまった感もあります。
2.新設法人は納税義務判定が怖い
新設法人については資本金が1千万円未満であれば第一期目は、消費税免税事業者(なお、免税事業者でも消費税分を請求して良いというのが、日本の消費税の特徴です)です。その後、一定期間の売上高が1千万円を超えると課税事業者になりますが、この判定が面倒です。以前は「基準期間」という、ざっくりいうと「前々期」の売上だけで判定すればよかったのですが、現在では「特定期間」という、「前期の上半期」の売上と給与でも1千万を超えているか否かのチェックをしなければなりません。
3.納税義務の後は簡易か、原則か?あえて課税事業者を選択するか?
さらに、納税義務判定の後は、売上が5千万円以下であれば簡易課税方式か原則課税方式のどちらが有利かという判定もしなければなりません。(なお、余談ですがこの日本の消費税の簡易、原則は、中国の増値税の小規模納税人、一般納税人制度に少し似ています)また、やっかいなのは、免税事業者でも設備投資が多い場合等はあえて課税事業者を選択した方が有利な場合もあるという点です。しかも、その届出書については、開業期以外は適用を受ける期の前期中に出さなければいけないことになっています。ゆえに、ある程度翌期の予定をたてていないと判断が難しいことになります。