非居住者源泉所得税の確認の順序
(課税関係の整理には、順序が重要)
2018年12月
1.非居住者源泉調査ブームが到来?
今年の下半期、税務調査等で非居住者の源泉所得税徴収の必要性を指摘されたというご相談が急増しました。課税当局の重点調査項目にあがっているのかもしれません。税務調査等で結論だけ指摘されると、租税条約等特殊な論点が多いので「わー!大変だー!」と焦ってしまいがちですが、冷静に課税関係を整理していけば課税当局に納得してもらえるケースも結構あります。とくに、課税関係の整理には確認の順序が重要と考えていますので、今回はそちらをご紹介します。
2.順序その① 租税条約締結国か確認する
まず、非居住者の国と日本で租税条約が締結されているかを確認します。国内税法より条約優先ですので、以降のステップの確認も租税条約に従う必要があるため、まず租税条約締結の有無を確認する必要があります。ただし、取り扱いの理解はいきなり租税条約を読んでもわかりにくい場合が多いので、書籍等の情報が豊富にある国内法での取り扱いをまず把握し、その後租税条約に当てはめるという方法がわかりやすいかと思います。
3.順序その② 「なんとか所得」のどれに該当するか判定する
次に、当該源泉所得が、所得税法、租税条約の「事業所得、使用料所得、配当所得」等の分類の、「なんとか所得」のどれに該当するかを判定します。下記の「順序その③」の国内か国外かの判定も、所得の種類により異なりますので、まず「なんとか所得」のどれかを確定させるのがよろしいかと思います。これも租税条約ごとに内容は違いますので、必ず租税条約に従います。
4.順序その③ 国内源泉所得か国外源泉所得かを判定する
所得が決まれば、最大の論点であり、日本での課税の根拠でもある「国内か国外か」を確認します。所得の種類によっては単純に物理的な場所ではなく、また租税条約で結構判定が異なりますので要注意です。ここを整理すると、「国外源泉所得なので徴収不要だった」となるケースも結構あります。
5.順序その④ 租税条約の届出の必要性について確認する
最後に租税条約の届出の必要性について確認します。基本的に国内法と租税条約で税率等に相違がある場合には必要です。幣事務所では本論点について豊富な知見と課税当局対応経験を有していますので、御相談のある方はお問合せください。