(営業税課税の残り四業種についても増値税へ移行)
1.日本の消費税の課税対象=中国では従来増値税又は営業税が課税
財政部、国家税務総局から『営業税から増値税へ全面展開の試点の通知』(財税【2016】36号)が2016年3月23日に公布され、5月1日から、2013年の増値税改革後もいまだ営業税の課税対象として残っていた不動産等四業種についても増値税に移行されることとなりました。
中国では日本の消費税の課税対象税目がもとは増値税と営業税に分かれており、(計算システムとしては増値税が日本の消費税に近い税金で、いわゆる付加価値税です)、段階的に営業税課税業種を増値税に移行していました。それが今回の通知で全て増値税に移行が完了し、流通税が増値税に一本化されるというものです。なお、2013年にも移行措置があり、我々のようなコンサルティングサービスが増値税へと移行したことがありました。その際私がジェトロさんで講演をさせていただき、「将来的には全て増値税に変わると言われています」というお話をしたのですが、本当にそうなってしまいました。改めて中国の長期的な政策実行能力を認識させられました。
2.さらば営業税!地税局の今後?
この増値税改革、中国政府もPRに熱心なようで、ここ数か月は税務局からのニュースは増値税改革に関するものばかりでした。また、4月30日には、「営業税送別会にあなたも参加しませんか」的な寸劇風の漫画?が国家税務局から配信になっており、「さらば営業税!」といったところが強調されています。(そのうち国家税務局の「ゆるキャラ」もでてくるのではと個人的には期待しています)ただ、「増値税=国税局管轄」、「営業税=地税局管轄」であり、全て増値税に変わってしまうと地税局の税収減と空洞化を招きますので、こちらも今後動きがあるかもしれません。
3.日系企業実務でのポイント
日系企業的には今回の改革で収入が増値税に変更になるのは一部の業種だけです。ゆえに、通常の企業で論点になるのは経費面であり、新たに増値税に変更になった経費は増値税の仕入税額控除ができる可能性がありますので、増値税専用発票を取得するよう留意しましょう。ただし、日本の消費税とは控除できる範囲が異なり、対応関係の個別確認が厳格かつ、飲食等個人向けサービスに関しては仕入れ税額控除は基本的にはできないこととなっています。