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とにかくわかりやすい!ニュース3 中国経済減速の秋、減税の秋?

中国経済減速の秋、減税の秋?

(研究開発費の追加所得控除、耐用年数短縮、加速減価償却)

1.減税やってますよ!キャンペーン?

最近の中国の税務局のホームページや配信されてくるニュースを見ていますと国家税務総局や、どの都市の税務局も、やたらと「減免」、「優遇」といった文字が踊っています。また、「この資格がいらなくなりました!」という話も多いです。中国の経済減速を受けて、政府の対策や、行政の簡素化をアピールしているのでしょうか?今月は最近発表されたそういった2つの減税政策の解説をしていきます。

 

2.研究開発費の追加所得控除(財税【2015】119号) 対象経費の拡充? 

もとは従来からあった制度(企業所得税法30条、企業所得税実施条例95条、国税発【2008】116号)で、研究開発費のうち、①無形資産に計上されず、当期の費用に計上されているものは、発生額の50%をさらに課税所得から控除することができ(通常通り発生額を損金算入したほか、さらに追加で50%所得から控除できるという制度)、②無形資産に計上されたものは150%を取得価額として償却して良い(これも償却により追加で50%所得控除できることとなります)という実際支出額の50%増しの損金算入ができるというわりと画期的な制度でした。

当該規定の対象となる研究開発費の範囲が、今回の財税【2015】119号により、より具体的に明示され、実質的に範囲が拡大することとなりました。財税【2015】119号では、人件費(社会保険料含む)、直接経費(材料、検査費)、各種関連費用などが対象となることが明確にされています。従来の規定では人件費は給与部分のみと解釈されるような内容であったため、実質的に対象経費の範囲の拡大のようです。

 

3.耐用年数短縮と加速減価償却(財税【2015】106号)

これも従来からあった制度(財税【2014】75号)で、一定の四業種に該当する現地法人が新規に購入した固定資産には耐用年数の短縮か加速減価償却を認めるというものです。それが財税【2015】106号により、対象業種が従来の六業種から「軽工業、紡績、機械、自動車の4業種」に拡大されることとなりました。ただし、本規定は2の研究開発費の「50%割り増しで償却できる」ものではなく、「通常より早い事業年度で損金にできる(トータルで損金にできる額は変わらない)」というものです。

 

4.日系企業実務でのポイント 中国の税制も小難しくなった?税制の新常態化?

上記規定について新たに適用対象となった企業は適用を検討すべきでしょう。しかし、3の規定は現在課税所得が出ていない場合は、欠損金の繰越期限を考慮すると適用しない方が有利になる可能性もあります。

中国の優遇税制は、昔は「二免三半減」といった「良くも悪くも豪快な、わかりやすい優遇」が多かったのですが、最近発表になるものは、「よく読まないとなにが有利なのかわからない」という小難しい感じのするものが多くなっているような気がします。経済が発展して安定期を迎え、税制も新常態下にあるということでしょうか。