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わかりやすいニュース 2023年10月号 最近発表になった中国の減税 (優遇措置の延長、控除の増加等)

最近発表になった中国の減税

(優遇措置の延長、控除の増加等)

(8月に立て続けに発表、全て減税)

2023年 10月

2023年8月末に立て続けに中国の税金について、減税(優遇措置の延長と所得控除の増加)が発表になりました。今回はそちらについて解説します。

1.優遇措置の延長 2027年12月末日まで延長

①個人所得税

 Ⅰ年一回性賞与の優遇

  まず、年に一回性賞与の優遇が無事延長されました。これは改正前の旧個人所得税法からある中国の春節等に年一回支給する性質の賞与について、年額での税額計算となった新個人所得税法でも適用税率を優遇するというもので、理論的には廃止もあり得るという性質のものでしたが、引き続き延長となりました。

 Ⅱ外国人手当の一部免税

また、外国人の社宅、子女教育費等の免税も延長となりました。駐在員用の社宅が課税になりますと、かなりの税負担ですので在中の日本人駐在も一安心といったところです。

②企業所得税

Ⅰ小規模低利益企業 実質5%の税率の延長 2.5%は?

小規模低利益企業に対し、課税所得を通常の25%とし、税率を20%とする実質税率が5%となる優遇がありましたが、こちらも延長されました。なお、従来の実質2.5%となる優遇もありましたが、こちらについての延長は発表されておりませんので、現在のところ昨年で優遇終了という取り扱いとなっています。

 Ⅱ500万元以下の設備危惧の一括損金算入

また、500万元以下設備器具の税務上一括損金算入可能の規定も、延長となりました。なお、日本のように会計上の損金経理要件はありませんので、会計上は通常通り減価償却をして、税務上は減算調整をして一括損金算入するというのが、当該優遇を適用する場合の会計、税務上最も正しい処理となります。(実務的には小規模企業では税務に会計を合わせている場合も多いものと思われます。)

2.新たな減税 個人所得税 専項付加控除(所得控除)の増額

 また、優遇の延長以外に純粋な減税も発表されています。個人所得税の所得控除のうち、子女教育費控除が月額1,000元から月額2,000元へ、3歳以下の子供の育児控除が月額1,000元から2,000元へ、老人扶養控除が月額2,000元から3,000元へ増額となりました。

3.全部1月1日から遡及適用

 上記は2023年1月1日からの適用ですので、遡及適用となります。個人所得税などが改正により過大徴収となった場合、次回の給与の源泉徴収で調整されることとなります。