ネット配達員(個人事業主)の税務と在留資格
(最近流行りのお仕事スタイルですが、税務と在留資格は結構複雑です)
2021年 8月
コロナ禍の影響で、某宅配食事サービスの配達員の方を、あちこちで見かけるようになりました。ただ、この方々は雇用形態による従業員ではなく、それぞれが個人事業主という扱いになっているようです。また、外国人の方も以前はよく見かけましたが、私も行政書士の端くれとして、「どの在留資格で就業しているのかな?」と、以前から少し気になっていました。今回はそちらについて解説します。
1.個人事業主 確定申告が必要
以前は出前配達員というと「雇われ従業員」的なイメージがありましたが、某宅配食事サービスでは個人事業主として契約しているようです。その場合は、配達員の所得は給与所得ではなく、事業所得(副業の場合は雑所得の場合も)となるため、各人確定申告が必要になります。
2.20万円以下の雑所得は、所得税は申告不要だが、住民税は必要
なお、副業として雑所得で確定申告する場合、よく言われるのが「雑所得が20万円以下で、かつ他に給与以外に所得がなければ確定申告しなくて良い」というものです。これは所得税法においては正しいのですが、一方で住民税は当該免除規定がありませんので、住民税は申告しなければなりません。ややこしいですね。
3.外国人の在留資格 実は専門・技術系ではなく、身分か資格外活動許可
さて、外国人の方が配達員をやっている場合の在留資格はどうなっているのでしょうか?もともと、日本の労働が可能である在留資格は、「どこかに雇われることを想定」していると思われるため、私もどうなっているのか以前から不思議に思っていました。詳しい行政書士の方にも聞いてみたのですが、まず、「高度専門人材」や、「技・人・国」と呼ばれる「技術、人文、国際」等という、高度な専門性、技術を持つとされる外国人の方の在留資格では就労できません。高度な専門性に該当する就労じゃないということなんでしょうね。そうなると、就業できるのは、
①日本人、永住者の配偶者等の「身分に基づく在留資格」か、
②「留学生」や「家族滞在の在留資格」を持つ方が資格外活動許可を受けて就業する
というパターンになるようです。言われてみればなるほどと思いますが、王道の労働系在留資格である技人国がダメで、身分系と資格外活動許可系で成り立っているのは意外な気もしました。