中小法人判定等 支配関係 ヒヤリハット
(親より上の御先祖様までさかのぼろう)
2020年 6月
いつも当たり前のように行っている税務上の処理も、実は、「中小法人限定」、「中小企業者限定」の優遇というものが結構あります。これらの判定は当該法人の支配関係を確認していく必要があるのですが、念のため確認すると、「実は中小法人じゃなかった!」とヒヤリハットする場合もあります。今回は、そんな支配関係ヒヤリハットについて解説します。
1.ヒヤリハット! 中小法人、中小企業者判定
税法上、中小法人、中小企業者には優遇措置があり、 簡単にいうと「中小企業は大企業と違うから、税制面で少し優遇してあげましょう。ただし、大企業に支配されているような中小企業はダメよ。」というものです。これは、当該法人自体の資本金及びその株主、出資者である親会社等の資本金で判定します。
また、優遇措置として実務上よくでてくるものは、法人税率の軽減税率の適用、少額減価償却資産、交際費の損金算入、繰越欠損金の全額控除可能などです。
2.御先祖様までさかのぼろう
この場合、出資者である親会社等は単純な直接の株主、出資者だけでなく、間接的な支配関係も含むことになっています。すなわち、親会社、そのまた上の祖父母?会社だけでなく、実質的な株主が判明するまで延々と上に、それこそ御先祖様レベルまでさかのぼる必要があります。その結果、「実は中小法人には該当しませんでした」というケースがあるわけです。
3.ヒヤリぞっと! グループ連結売上高1,000億円以上で移転価格文書提出義務あり。
支配関係では、さらに、「ヒヤリハット」を通り越して「ヒヤリぞっと」してしまう規定もあります。それは、グループの連結売上高が1,000億円以上あると、移転価格文書の提出義務があるというものです。「こんな小さい法人がまさか移転価格文書は関係ないだろう」というところが、提出義務ありとなったりしますので、やはり、確認しておかないと怖いところです。