駐在員の税務を整理
(異動の春ですね!ごちゃごちゃしがちな駐在員の税務を整理してみませんか?)
2017年4月
4月は人事異動の季節です。海外駐在員の税務はとかくややこしい論点が多く、ご相談をいただく機会も多いですが、原因は、「国内と国外の税務、社会保険、会社の待遇や実業のビジネスがこんがらがっている状態で、人事経理担当者に、『とりあえずよろしく!』とごちゃっと丸投げされる」という部分が大きいのではと感じます。税務だけでも、国内、国外、所得税に法人税と各要素を考えなければいけないのに、それ以外の要素もワイワイ言われてプロである人事経理担当者の方も頭を抱えるというわけです。しかし、ひとつひとつ論点を整理していけば、わりとすっきり整理できる部分もあります。今回は税務についての整理方法を紹介します。
1.所得税 個人所得税 当てはめの問題 誰がやっても答えは同じ
所得税、個人所得税はわりとすっきりしています。各種手当が課税か非課税かなど、細かい論点はあるものの、基本は所得を正確に分類していけば誰が計算しても同じ答えになります。その際のコツは、①どこの国の居住者か?②国内源泉所得か国外源泉所得か?③国内負担か国外負担か?など、大きいカテゴリーから正確に分類していくことです。よくある誤りとしては、②、③の分類が誤っているケースが多く見られます。(とくに、③について立替払いを負担と誤って処理していまっているケースが多いです)
2.法人税 日本親会社の負担割合について、デジタルな正解はない!
次に法人税、企業所得税です。ここで定番の「海外子会社出向者の給与は日本親会社でいくらまでなら負担しても海外子会社寄附金にならないのか?」という命題があります。これは、100%海外子会社で負担する以外は、明確な正解というものはありません。規定には、出向元と出向先の較差補てん金は認める(法人税法基本通達9-2-47)と書いてあるのみで、「何%ならOK!」というものはありません。また、実際の税務当局の調査実務でも100%認められている場合や、逆に100%否認されたりとまちまちのようです。これは、個別の事情は各企業で異なる(完全子会社への出向か、中資との合弁子会社への出向か等)ことや、調査担当者の理解もまちまち、税務調査でも網羅的に指摘するわけではないという点が理由としてあるでしょう。いずれにせよ、通達上は認められていますので、通達と実務動向を参考にどういうポリシーで会社が負担割合を決定したかを合理的に説明できるよう準備しておくのが重要ではないでしょうか。