中国での外資企業設立が事前審査制から届出制へ
(30年ぶりの設立手続きの大改革。商務部門はどうなるの?)
2016年11月
1.商務部門の事前審査制が届出制へ
中国商務部は2016年10月8日付で、≪外商投資企業設立及び変更備案管理暫定弁法≫(商務部令2016年第3号)を公布しました。これは、従来は外資企業の設立は商務部門による許可を得てから設立する必要があったものが、事後の届出でもよくなるという改正です。上海自由貿易試験区などでは先行して実施されていたもので、本来は、手続きの簡素化、期間の短縮化が期待される改正です。ただし、先行実施地域でも劇的に手続期間が短縮されたというわけではなく、また、中国実務の常で改正施行直後はかなり地域差、運用差がでることも予想されますので、落ち着くまでは各地の当局の指示を確認することが重要です。
2.中国の商務部門は日本の経済産業省?かつては外資の元締め
ところで、商務部門というのは日本ではどの役所に相当するのでしょうか?「中国の工商局=日本の法務局」で、商務部門は「日本の経済産業省みたいな役所」と言われています。(地域により「対外経済貿易合作局」など出先機関の名称は異なります)ただし、実務の世界では経済産業省よりもっと権限が大きいイメージで、外資企業の設立や持分譲渡、清算など大きいアクションはまず商務部門の許可がいるという、「外資の許認可の総元締め」と「外資誘致窓口」のような存在の役所でした。
3.今後は本当に日本の経済産業省に?
では、許認可が届出になる今後、商務部門はどうなるのでしょうか?日本の経済産業省も、高度経済成長期には前身の通産省が、各種許認可や行政指導等の権限を持ち幅広い役割を担っていたようですが、現在は産業振興や企業支援等に役割がシフトしている感があります。今後は中国の商務部門も、経済の急成長と外資誘致のひと段落に伴い、日本のように役割を変化させていくのかもしれません。