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わかりやすいニュース 2016年10月号 海外子会社の日本の法人税法、相続税法上の評価額

海外子会社の日本の法人税法、相続税法上の評価額

(海外子会社が当たり前の時代の税法上の評価と実務の課題)

 

2016年10月

1.海外子会社 新ステージ 

①進出は当たり前→②継続経営も当たり前→③保有したまま承継も当たり前?

 経済のグローバル化に伴い中堅、中小企業の海外進出も一般的になってきました。現在では、①進出するのは当たり前、②それをいかに健全に経営していくか?グループでシナジー効果をだしていくか?ということが課題になってきています。また、その次の段階として、③海外子会社をもつ日本親会社をグループとしてどのように承継するか(相続やMA等)が次のステージの課題として大きなテーマになってくるのではないでしょうか?しかし、実業のビジネスの海外展開のスピードに比べ、それをとりまく日本の税法のキャッチアップは若干のんびりしている部分もあるように感じます。というわけで、今回は海外子会社の日本の法人税法上、相続税法上の評価について考えてみたいと思います。

2.法人税法上の評価 評価損と子会社関連支出

 ①評価損 条文にはあるけれども・・。納税者側で遠慮する?

海外子会社は通常は売買目的以外の有価証券に分類され、取得価額で計上されています。ただし、資産状態の著しい悪化による価額の下落など、一定の要件に該当する場合には法人税法上も評価損の計上が認められています。しかし、実務では税務署に否認されるというよりも、納税者側で「そんなもの認められるはずがない」と遠慮して?計上しないケースが多いようです。実際、税務署に照会をかけると意外と「頭ごなしに否認するわけじゃないですよ」という回答が返ってくるケースも少なくありません。また、個人的には日本政府も海外進出を推進しているのだから、果敢に挑戦した企業の損失は適正に見てあげてよと考えています。

②支援損、整理損 合理的な計画に基づけば?

 子会社の再建や整理のための損失も合理的など一定の要件を満たせば子会社寄付金にならないと規定されています。ただ、これも実務では遠慮するケースがあるようです。

3.相続税法上の評価 海外子会社の時価は?

 あまり意識されないのですが、非上場企業オーナーが、相続などで日本親会社株式を相続する場合は、海外子会社も実は評価の対象となります。ただ、この場合時価評価を本当はしなければならないのですが、海外子会社をどのように時価評価するのかという課題が生じます。この論点は日本企業の継続経営を考える上で、今後非常に面白いテーマになると考えています。